「お歳暮は毎年贈らなくていい」と言える3つの条件

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11月に入ると、百貨店の売り場やネット通販サイトに「お歳暮特集」が並び始める。実家や義実家、お世話になった上司や取引先へ、今年も贈るべきかどうか——毎年この時期になると、頭の片隅で引っかかる人は少なくないはずだ。
「贈らないと失礼になるのでは」「去年贈ったのに今年やめたら変に思われないか」。そう思って、なんとなく去年と同じものを選び、なんとなく贈り続けている人も多いだろう。
だが調べてみると、お歳暮を実際に贈っている人はすでに少数派になりつつある。今回は、「やめてもいい」と言い切れる3つの条件を、データをもとに整理してみた。
お歳暮を贈る人は、もう4割弱しかいない
まず前提のデータから見ていきたい。マイボイスコムの定期調査によれば、お歳暮を贈る人・贈ったことがある人の割合はすでに4割弱まで下がっており、過去の調査と比べて減少傾向が続いている。別の調査では「お歳暮を贈る習慣がある」と答えた人は24%にとどまり、「贈らない」と答えた人がおよそ7割に達するという結果も出ている。
ハルメク・ホールディングスが2025年に実施した「贈り物に関する意識・実態調査」では、お中元・お歳暮は2017年と比べて18.1%も減少しているという数字が示された。つまりこの約10年で、贈答の機会そのものが2割近く縮小している計算になる。
興味深いのは年代差だ。60〜70代ではお歳暮を贈る人がおよそ56%にのぼる一方、30代では約2割にとどまるという調査結果がある。つまり「贈るのが当たり前」という感覚自体が、すでに世代によって大きく分かれているということだ。

これはつまり、「お歳暮をやめたら自分だけ非常識」という不安自体が、今の時代にはすでに当てはまらなくなっているということを意味する。周りの同世代の7〜8割は、そもそも最初から贈っていないのだ。
物価高で「贈る」こと自体が負担になっている
お歳暮をやめる理由として最も多く挙がるのが、物価高による金銭的な負担だ。ある調査では、67%の人が「物価上昇でお歳暮を贈るハードルが上がった」と回答している。
お歳暮の相場は、贈る相手によって3,000円〜10,000円程度とされる。両親や親戚には3,000〜5,000円程度、取引先など少し改まった相手には5,000〜10,000円程度が目安とされており、お中元も贈っている相手には、お中元より2〜3割増しの金額にするのが一般的なマナーとされている。
一人、二人ならまだしも、両親・義実家・上司・お世話になった取引先と、贈る相手が複数人になれば、合計で数万円の出費になることも珍しくない。品物の送料や手間(宛名の確認、のし紙の手配、発送のタイミング調整など)も含めれば、実質的なコストはさらに大きくなる。
この負担感は、個人間の贈答だけの話ではない。企業間のお中元・お歳暮についても、「完全に廃止すべき」「どちらかと言えば廃止すべき」と考える人を合わせると7割を超えるという調査結果がある。一方で「お中元を贈る企業」は45%程度にとどまり、贈らない企業のほうがすでに多数派になっているというデータもある。

つまり「形式的な贈答はやめたほうがいい」という考え方自体は、もはや少数意見ではなく、むしろ主流になりつつあるということだ。
外国の事例でも、年末のギフト文化に対する「義務感による疲れ」は共通のテーマとして指摘されている。欧米の調査では、ホリデーシーズンのギフト出費は2000年頃と比べて世帯あたり約3割減っているとされ、ギフトを贈ること自体がストレスになっていると答える人も半数を超えるという結果がある。経済学の分野では、「贈る側が1ドル使っても、受け取る側にとっての価値は80セント分にしかならない」という”デッドウェイト・ロス(価値の目減り)“の概念も昔から指摘されてきた。義理で贈る贈り物が、必ずしも相手にとって嬉しいものとは限らない、という構造は国を問わず共通しているようだ。
やめても失礼にならない3つの条件
ここまでのデータを踏まえると、「お歳暮をやめても大丈夫」と言い切れる条件が見えてくる。逆に言えば、この3つに当てはまらない相手には、無理にやめる必要はない。
条件1. 相手も「形式的な付き合い」だと感じている関係
もともとお歳暮が始まった背景には、「お世話になった人に感謝を伝える」という意味があった。しかし、年に一度、品物をやり取りするだけで、普段の交流がほとんどない相手との贈答は、感謝というより「惰性の儀礼」になっていることが多い。
自分が「今年もとりあえず贈っておくか」と思っている相手は、多くの場合、相手も同じように感じている可能性が高い。双方にとって負担でしかない慣習なら、どちらかが切り出すきっかけを待っているだけ、というケースも少なくない。
条件2. 予算が家計やお小遣いの許容範囲を超えている
贈る相手が複数人いて、合計の出費が「ないと困る」レベルになっている場合は、迷わずやめる・減らす対象にしていい。前述の通り、物価高を理由にお歳暮を控える人がすでに多数派になりつつある中で、無理をしてまで続ける理由は薄い。
特に、クリスマスプレゼントや帰省費用、年末年始の諸費用が重なる時期でもある。お歳暮の予算をそちらに回したほうが、家計全体の満足度は上がりやすい。
条件3. 感謝を伝える別の手段がすでにある
年賀状、電話、直接会う機会での一言、あるいは誕生日や記念日の個別のプレゼントなど、別の形で感謝や近況を伝えられている相手であれば、お歳暮という「形式」にこだわる必要はない。
贈り物の本質は、相手との関係を大切にする気持ちを伝えることであって、12月に品物を送ることそのものではない。手段が一つに固定されている必要はないはずだ。

やめるときに気をつけたいこと
ただし、やめ方には配慮が必要だ。ある年、何の説明もなく急に品物が届かなくなれば、相手によっては「何か失礼があったのか」「関係が悪化したのか」と誤解されるリスクがある。
特に高齢の親族や、形式を重んじる世代の取引先に対しては、
- 一度にゼロにするのではなく、品物のランクを下げる・隔年にするなど段階的に減らす
- 「今年から簡素にさせていただきます」と一言添えたメッセージや年賀状を送る
- 品物の代わりに、電話や対面での挨拶など別の形で感謝を伝える
といった配慮をすると、角が立ちにくい。実際、お中元・お歳暮をやめる際の「断り方」をテーマにした記事や相談事例が複数のメディアで扱われているのも、この移行期特有の悩みの表れと言えるだろう。
まとめ:やめる・続けるは「関係性」で決めていい
お歳暮を贈る人はすでに4割弱まで減少し、30代では約2割にとどまる。物価高を理由に負担を感じている人は多数派で、企業間の贈答についても「廃止すべき」という声が7割を超えている。こうしたデータを見る限り、「お歳暮をやめる」という選択は、もはや非常識でも冷たい判断でもない。
とはいえ、どの相手にどこまで続けるか、どの相手は今年から簡素化するかを一つひとつ判断するのは、意外と手間がかかる作業でもある。相場や品物の選び方、相手別のマナーを毎回調べ直すのは正直面倒だ。
贈ると決めた相手への品物選びでは、口コミの信頼性や価格の妥当性を事前にチェックしておくと失敗が少ない。
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